「牛川人骨」とされる化石骨(複製品)

  • 所 蔵:東京大学綜合研究博物館(オリジナル)
  • 出土地:牛川洞穴遺跡(滅失)

牛川第1人骨のレプリカ

牛川第1人骨とされる化石骨(複製)

解説

「牛川人骨」とされる化石骨2点の標本は、現在東京大学総合研究博物館に収蔵されています。当館では、実物から型取りした複製品を所蔵しています。 発見当時、東京大学教授であった鈴木尚氏により、第1人骨は左上腕骨の破片で身長134.8センチメートルと現代人より背の低い大人の女性と、第2人骨は左大腿骨の破片で身長は149.2センチメートルとやはり背の低い大人の男性の骨と、それぞれ推定されました。また、この骨の年代は更新世後期(約10万年前)のもので、当時としては国内最古の化石人骨と考えられていました。 なお近年の研究により、第1人骨とされた骨は人骨ではなく動物骨であるという意見が相次いで表明されています。しかしながら、この化石骨は「ヒト」を含めた何の動物のどの部分の骨か判断が難しく、長い間、確定には至りませんでした。また、第2人骨とされた骨についても動物の骨との意見がありますが、第1人骨と同じく、長い間未解明のままでした。 令和4(2022)年9月16~19日に行われた第76回日本人類学会大会・第38回日本霊長類学会大会連合大会において、東京大学特別教授の諏訪元氏らから「牛川人骨」はヒグマの骨であるとする見解が示されました。今後、より詳しい研究成果が公表されるものと期待されます。 「牛川人骨」がヒトの骨でないとしても、「牛川人骨」の発見は、国内における化石人骨研究の進展に大きく寄与したという学史上の意義は変わりません。また、骨の年代は後期更新世のものであり、当時の動物骨として貴重なものであると言えるでしょう。

この記事は 2024年02月08日に更新されました。

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