静物

中川一政(なかがわかずまさ) 1893-1991 1924(大正13)年 紙板、油彩 23.5×32.4 第2回春陽会展出品(推定) 平成元年度購入

静物

静物

解説

岸田劉生の圧倒的な個性によって先導され、注目を集めた草土社はその反面、没個性の要素をはらんでいました。多くは劉生に追従する写実的画風を示していましたが、創立同人として参画した中川一政の場合は初めから少し違っていました。画面には、具象表現による独特な空気と詩情が盛り込まれています。大正11年、草土社は終焉を迎えますが、主力メンバーは、この年発足した『春陽会』に参加します。劉生、椿貞雄、河野道勢が相次いで退くなかで一政は同会に残り、自由な創作活動を展開していきました。この作品は春陽会第2回展あるいは第3回展で発表された《静物》の一点で、グレーの壁を背景にした机上には、ガラス瓶・白布・果物といった三種類の質感の異なるモティーフが簡略化した筆法で描き分けられています。草土社時代の雰囲気をよくとどめた作品といえるでしょう。

この記事は2014年02月12日に更新されました。