ふきだまりⅡ

大森運夫(おおもりかずお)1917- 1962(昭和37)年 紙本着彩 181.4×130.3 第26回新制作展出品<新作家賞受賞> 平成9年度購入

《ふきだまりⅡ》1962年

《ふきだまりⅡ》1962年

解説

大森運夫はその画業を通じて常に人の生き様を描いてきた画家といえるでしょう。初期の頃は社会的な運動の高まった時代を反映し、社会的な弱者を対象としたものが多くあらわされます。「ふきだまり」もそうした作品で三部作からなり、浅草のドヤ街山谷にたむろする日雇い労働者の姿を描いています。社会の底辺に生きる人々の悲哀とたくましさを骨太い筆致で描き出し、第26回新制作展で新作家賞を受賞しました。デフォルメされた人物の形は鉈で掘り出したかのように荒く、パレットナイフで厚く盛り上げた岩絵の具は岩肌を思わせるなど、日本画というよりもむしろ油彩画で描いたような印象を与えます。その前後に比して最も激しい作風を示したこの年は、教職を辞して住居も川崎市の中村正義のもとに移し、画業に専念することを決意した年であり、大森の画業のなかでも記念碑的な位置にたつ作品といえるでしょう。

この記事は2014年03月05日に更新されました。