RED NO.23

大野傲嵩(おおのひでたか)1922- 1963(昭和38)年 綿、麻布、顔料 167.0cm×68.0cm 日本現代絵画展出品 平成8年度購入

REDNO.23

REDNO.23

解説

1958年頃より大野淑嵩は、画面に粗い麻布(農作物を入れる袋などの素材=ドンゴロス)をコラージュした一連の作品をあらわします。大野はそれまで三上誠、星野眞吾らとともにパンリアル美術協会においてキュビスム、シュルレアリスムなどの影響が顕著な制作活動を行ってきましたが、この素材との出会いによってこれまでとは全く異なる手法と表現を得たのです。 ドンゴロス・コラージュの発表の後、彼はパンリアル美術協会を退きました。しかし、この異素材を画面に定着させるという手法は、ひきつづき同メンバーによって様々な試みがなされます。大野もまたドンゴロスという宿命的な素材の追求に遭進してゆきます。当初のドンゴロスの扱いは朽ちたかのように主体を消失し、色面に埋没、あるいは同化しつつあるものでしたが、やがて緋色の画面上で潔く色面と決別し、おのが主張を果たすそれへと変遷します。この《REDNo23》を含めた緋のシリーズは多くの連作を生みますが、いずれも「描く」行為を排除し、綿布地を赤色顔料で統一しており、作意はむしろ素のままの形態を露呈したドンゴロスの直線的な構成に見出すことができます。粗布に染められた青色の帯、縫い取り、シミあとが触覚や嗅覚(既に意識下にすりこまれたズダ袋の臭気の記憶)をともない、見るものに有機的なつながりを求めています。鮮明な赤色はこれと対比的ですが、包むべき使命を終えた半立体の麻袋を平面のうちに取り込み抱擁しているかのようです。 やがてドンゴロスシリーズは幕を閉じ、1970年代からは花や植物をモティーフにした精級な線描による「描く」行為に回帰しました。

この記事は2014年02月11日に更新されました。